企業がアクセシビリティ対応を行うメリット

企業において、Webアクセシビリティに対応しているWebサイトは、現時点ではまだ数が多いとは言えません。

流行のデザインや色合いを取り入れたWebサイトは、必ずしもWebアクセシビリティに配慮がされたものであるとは言えないのが現状です。例えば薄い色合いの文字は高齢者には見えにくく、背景が動くと集中して読めない人もいます。

デザインに制限を生じ自由度が無くなると感じる中で、企業がWebアクセシビリティに対応をすべき理由は、大きく6つあります。

  1. すべての利用者に使いやすいサイトにする
  2. SEO対策
  3. 訴訟対策
  4. ESG、CSR対策
  5. インバウンド対策
  6. 国際規格に沿うことによる安心と信用

1. すべての利用者に使いやすいサイトにする

背景色とテキストのコントラストに関するWebアクセシビリティ要件は、デザインに制限を生じる可能性があります。しかし、この要件があるからこそ、Webサイトを見られる人がいます。また閲覧をするデバイスや環境、操作方法もそれぞれ異なります。Webアクセシビリティ対応がなされたページは、障害の有無・年齢・利用環境を問わずアクセスできますので、多くの利用者にとって使いやすいWebサイトとなります。

2. SEO対策

Webアクセシビリティ対応を行うことは、人だけでなくマシンリーダブル(機械が読みやすくする)にもなります。プログラムでも内容を理解しやすいため、検索サイトで上位に表示されやすくなる傾向があります。これは正しいソースコードで書かれていればどのブラウザでも問題なく表示できるなど、利用しやすいWebサイトとして扱われるためです。SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)対策として、検索エンジンを使ったマーケティング戦略の一つともなります。

3. 訴訟対策

2019年に海外で、ある女性歌手のWebサイトがアクセシブルではないとして、全盲のファンが運営会社に対して訴訟を起こしました。こうした訴訟は以前からあり、すべてのWebサイトにおいて同じようなことは起こり得ます。日本の企業でも、グローバル展開している場合は注意が必要です。今回訴訟を起こしたファンにとっては、自分がアクセスできないWebサイトによって好きなものから拒絶されたように感じたのかもしれません。このような問題を防ぐためにも、すべての利用者がアクセス可能な使いやすいWebサイトにすることが大切なのです。

4. ESG、CSR対策

ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉です。ESGは企業が成長する上で求められる社会的責任の指標の一部に用いられ、欧米ではESGが投資の目安にもなっています。昨今、ESGを意識した投資ではリターンが高く、リスクが小さいという研究結果もあり、企業価値向上につながってきています。Webアクセシビリティも社会的な面で価値を与えています。またCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)からも、アクセシビリティ対応は今後ますます重要なものになってきます。 日本でも大手航空会社がESGあるいはCSR施策の一つとして、Webアクセシビリティ対応を率先して実施するなど、その機運が高まっています。

5. インバウンド対策

深化するグローバル時代にあって、日本企業のWebサイトは今や海外からの就労者、旅行客も閲覧し、日本人だけが見るものではなくなっています。運営されているWebサイトを英語表記に変換させるボタンを設置している企業も多く見られます。

では、外国人が画像に書かれた日本語の意味を調べるとき、どのような画像であれば調べやすいでしょうか。日本語表記は、ひらがな、カタカナで48字、漢字であれば10万字を超えると言われています。読み方の分からない文字を調べるのは大変なことです。Webアクセシビリティには「画像化された文字を使わない」「画像には代替テキスト情報で説明を加える」という規格があるため、画像に代替テキスト情報を追加することで、調べやすくなります。Webアクセシビリティは高齢者や障がい者だけではなく、使用言語が異なる人にとっても使いやすくする方法なのです。

6. 国際規格に沿うことによる安心と信用

「JIS X 8341-3」は、Webアクセシビリティの国際規格「ISO/IEC 40500」と同等です。この規格に沿ってWebが構築されていることの証明は、企業に安心や信用を与えることにつながります。見えにくかったり、必要な情報がどこにあるか分かりづらくアクセスしにくいサイトは、利用者にとって不信の原因にもなります。規格に沿うことで見やすく必要な情報にアクセスしやすいページとなること、世界標準のサイトとなることの2点は、企業にとって大きな安心や信用となります。