障害者差別解消法改正への企業のウェブサイト対応について

2021年5月に改正障害者差別解消法が可決成立し法改正がなされました。これまで努力義務だった民間事業者も義務化され、障害をお持ちの方へのより一層の配慮が求められることとなります。 改正法は、令和6年4月1日から施行されます。企業のウェブサイトについて、どのような対応が求められるのか、以下に解説を行います。

障害者差別解消法改正の概要

大まかにいうと、今まで障害者への配慮は「公共機関は義務」「一般企業は努力義務」でしたが、この改正により「一般企業も義務」となります。詳細は、内閣府のウェブサイト「障害を理由とする差別の解消の推進別ウィンドウで開く」をご覧ください。

企業に求められる「合理的配慮」

障害者差別解消法では「合理的配慮」が求められます。「合理的配慮」とは、「負荷の高すぎない範囲で障害者に配慮すること」で、その具体的な内容を以下で説明します。

例えば3階建てのビルで受付が3階にあったとします。エレベーターはありません。つまり車いすユーザーは3階に行けない(行きにくい)状態です。エレベーターを付ければ移動できますが、数百万円に及ぶ費用が掛かり現実的ではありません。しかし受付を1階に置けば、車いすユーザーも受付が可能です。こういった、負荷の高すぎない範囲での配慮を「合理的配慮」と呼びます。

障害者差別解消法改正に向けた企業のウェブサイトの対応は?

改正に対して「企業はこうしなさい」というガイドラインはありません。しかし、参考となるものがあります。それは「公共機関の配慮」実績です。公共機関は先に義務となっており、その取組を参考にし、同じ取り組みをすることで、「公共機関と同等の配慮を行っている」ということができます。もちろん、公共機関以上に目標を高く掲げることも問題ありません。

公共機関のウェブサイトへの配慮のガイドライン「みんなの公共サイト運用ガイドライン」

公共機関には総務省から「みんなの公共サイト運用ガイドライン別ウィンドウで開く」というものが出ており、これに沿うことが求められています。内容を要約すると、

  • JIS x 8341-3:2016 適合レベルAAに準拠すること
  • 方針の策定、検査結果の公開
  • 体制の確保や整備(ガイドラインの作成等)

といった点が挙げられます。このガイドラインに則った対応をすれば、企業のウェブサイトも障害者差別解消法に沿った対応が可能でしょう。

具体的な対応方法

JIS x 8341-3:2016 適合レベルAAに準拠すること

これは、JIS規格に沿っているかどうか、と言うことになります。2023年8月段階でJIS規格はWCAG2.0と同一ですので詳しく沿っているかはWCAG2.0を見てみるとわかりやすいと思います。
「一度に全ページを対応するのは難しい」と言うこともあるかと思いますが公共サイトでも毎年40~60ページずつ検査し、その結果を持って修正作業をし、準拠に向かっています。
企業サイトも同じように40ページずつ検査、結果から修正作業を行い、準拠にもっていきましょう。弊社の検査では指摘箇所と指摘内容、修正案をセットにしておりますので、修正作業をスムーズに行えます。
弊社の検査サービスについてはこちらをご覧ください。

方針の策定、検査結果の公開

検査は毎年行う必要があります。それは更新頻度の差はあれど、ページが変化していくためです。またその結果を公開するページが必要です。
「ウェブアクセシビリティ方針」と呼ばれるページで、どんな規格に沿うのか、どんなスケジュールで進めるのかなどを記載するページです。
弊社の規格の検査では、「検査証明書」をお出ししており、これをそのままウェブアクセシビリティ方針のページにリンクを貼ることで結果を公開できます。
ウェブアクセシビリティ方針策定の支援も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

体制の確保や整備(ガイドラインの作成等)

ウェブアクセシビリティに継続して対応していくために、担当人員の育成やガイドラインの作成が必要となります。 弊社では研修コンサルティング、ガイドライン作成も行っております。
大きな企業であればあるほど、細部までアクセシビリティが行き届かず、制作会社に丸投げしていることも多くあるかと思います。
少なくとも発注側にアクセシビリティ対応の知識がないと、規格の数%としか適合していない状態で「適合している」として納品したり、 支援ツールを入れただけでアクセシビリティ対応したという制作業者を信じ、充分なアクセシビリティ対応がされないまま進みかねません。
弊社の研修はウェブサイトオーナー主導でで制作業者向けにも開催されており、検査サービスと併せることで検査結果を反映した資料で説明をすることので理解が深まると好評を頂いております

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